健康

口は災いの元

(2016年11月17日号掲載)

口の乾燥が味覚障害につながる。

薬の飲み過ぎで唾液が出にくく
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

今回のテーマは「口の乾燥」です。実は口腔乾燥の治療ために、漢方外来を受診する方は大勢います。

口腔乾燥の最大の原因は、唾液(だえき)が出ないからです。唾液には大きく分けて2つの種類があります。ネトネトした唾液と、サラサラした唾液です。

普段、何もしていない時の唾液は、主にあごの下にある顎下腺から分泌されます。これはネトネトした唾液とサラサラした唾液の混合したもので、口の中の乾燥を防ぐ役割があります。

一方、食事をするときに出る唾液は、耳の下にある耳下腺から多く分泌されます。この唾液はサラサラしています。この唾液は、消化をつかさどる五臓の「脾」と関連します。

ネトネトした唾液の分泌を支配しているのは、発育や老化に関連がある「腎」です。高齢者が口腔乾燥を起こしやすいのは、老化によって腎が衰えるためと考えます。

口腔乾燥によって起こる代表的な症状が「味覚障害」です。味を感じるということは、唾液に溶けた食べ物の物質が、舌にある味蕾(みらい)を刺激するということです。唾液分泌が行われないと、味蕾に味を届けることができません。脾や腎の衰えによって、口腔乾燥や味覚障害が起こっている場合は、それらを補う漢方薬を使って改善を図ります。

身体を潤す陰の不足、ストレスに伴う気の巡りの滞りは、熱が上半身に溜まりやすく、口の中が乾きやすくなります。また、西洋医学の薬の中には口の状態を悪化させ、口腔乾燥につながるものが多いため注意が必要です。

高齢者の代表的な口腔の症状といえば、舌痛症・味覚障害・口腔乾燥です。漢方では、これらの症状に対して同じ治療法を採用することが多くあります。食事を楽しむことは、生きる上で欠かせない要素です。健康的な生活のためにも、口の中の乾燥を見直してみましょう。