健康

格言で学ぶ漢方-27

気は血の帥(すい)

(2017年1月26日号掲載)

「しもやけ」「ひび割れ」は気血を巡らせて治す。

温めて気血を補い巡りを良くする
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

寒い季節は「しもやけ」「ひび割れ」などが起こりやすい季節。これらは皮膚のトラブルに思えますが、漢方の視点では気血(きけつ)の巡りが滞ることによって起こると考えます。

「しもやけ」は冷えや寒さで手足の先が赤くなったり、かゆくなったりする症状です。気血の巡りは体の末端ほど悪くなりやすいため、手足に起こりやすくなります。また、冷えも大きな原因です。この場合は、冷えている部分を温めることで改善します。

世の中には、しもやけが起きやすい人と、起こりにくい人がいます。しもやけが起こりやすい人は、血の巡りがもともと悪く、小さな影響で巡りが滞りやすい体質であると考えられます。この場合は、血の流れがスムーズになる漢方薬を処方すると、体に冷えがあっても症状が良くなることがあります。

「ひび割れ」は皮膚が乾燥することで、角質層が割れる症状です。特にかかとは角質層が厚いため、ひび割れが起こりやすい場所です。空気の乾燥も原因の一つですが、血が不足することでも割れやすくなります。冬になると爪が割れやすくなるのも同じ理由です。

「ひび割れ」の患者さんによく処方する漢方薬に「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」があります。この薬は名前の通り十種類の生薬で作られていて、体に不足している気や血を補います。病後などで全身の倦怠感があるときに使う代表的な処方ですが、皮膚の乾燥にも使われるのは漢方の不思議なところです。

漢方には「気は血の帥」「血は気の母」という言葉があります。これは「気が血を生み出し、動かす。血が気を生み出す」ということを表しています。したがって、血を補うときには気も補うと良いということになります。

皮膚のトラブルは「病院に行くほどでない」と思ってしまいがちです。日頃のちょっとした悩みに対処できるのも、漢方の良さといえるでしょう。