健康

格言で学ぶ漢方-28

通じざればすなわち痛む

(2017年2月2日号掲載)

下痢の原因、自覚していますか?

冷えやストレスが胃腸を弱める
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

冬はお腹が冷えやすい人にとって、下痢が起こりやすい季節です。

下痢には冬季の嘔吐下痢症などのような急性の下痢と、体質的に下痢を繰り返す慢性の下痢があります。急性の下痢は特別な場合を除いて、自然に治っていくのが普通です。漢方治療は慢性の下痢にとても有効ですが、急性の下痢に用いて、症状を軽くするのにも役立ちます。

冬季に流行する嘔吐下痢症は、急性の下痢の代表です。患者さんの中には、腸の中は水が多いのに、その他の部位には水が足りなくて喉が渇く人もいます。水を勢いよく飲むと、また嘔吐することもあります。この場合、体内の水分バランスの異常を調節する漢方薬が役立ちます。

慢性の下痢の場合は、特別な病気がないか、一度は消化器の専門の先生に診てもらう必要があります。問題がなければ、漢方治療は有効であると思います。慢性の下痢の原因は、胃腸虚弱が多いのですが、冷え、ストレスの影響を受けやすいことも重要です。漢方薬はこれらに対応できることが強みといえるでしょう。

冬季に流行する嘔吐下痢症で使われる代表的な漢方薬は「五苓散(ごれいさん)」です。これは水のバランスを調節する薬です。科学的にもメカニズムが解明されていて、体内の水の通り道を整える「アクアポリン」に働きかける役割を持ちます。下痢はもちろん、頭痛や二日酔い、時には慢性硬膜下血腫などにも使われることがあります。この漢方薬のキーワードは「水の異常」です。

漢方には「通じざればすなわち痛む」という言葉があります。これは体内の気血の巡りが滞ることで、痛みが生じるということです。体が冷えるとお腹が痛くなることがありますが、これは冷えにより気血の巡りが悪くなったためです。下痢に悩まされている人は、自分の日常を振り返って、冷えがあるかどうか、仕事や家庭でストレスを感じていないか振り返ってみてください。