健康

格言で学ぶ漢方-29

二余三不足(によさんぶそく)

(2017年2月9日号掲載)

風邪をひきやすい子、原因は胃腸にあり?

肝・心余って脾・肺・腎足らず
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

漢方では昔から、子どもの体質を表す「二余三不足」という言葉があります。これは五臓のうち、肝・心の二つが活発で、脾・腎・肺の三つが弱いということを意味しています。

肝は気の巡りをコントロールし、心は精神をつかさどる臓です。子どもはいつも元気で、すぐに泣いたり、怒ったりしますね。これは肝と心の働きが活発で、高ぶり過ぎる傾向にあるということです。

一方、子どもはすぐにおなかが痛くなったり、風邪をひいたりします。これは胃腸の働きをつかさどる脾や、呼吸に関わる肺の活動が不足しているということです。

例えば、冬や季節の変わり目は、気管支喘息の発作が出やすい時です。漢方では肺と胃腸の間に密接な関係があるため、脾に働きかけて胃腸を良くすることが、気管支喘息の治療の土台になることがあります。

脾は消化機能の中心となる臓器です。出生後の生命エネルギーを作る際に核となる臓のため「後天の本(ほん)」と呼ばれます。一方、腎は「先天の本」と呼ばれ、先天的な生命エネルギーが蓄えられています。虚弱体質は脾・腎の働きの不足と関連します。

意外かもしれませんが、子どもは漢方薬の効き目がとても早く現れます。大人と異なり複雑な原因が少ないからだと思います。

子どもで最も使われるのは「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」という胃腸を丈夫にする漢方薬です。「中」の文字はお腹を表します。疲れやすい、食が細い、すぐにお腹が痛くなる、カゼを引きやすいなどの、いわゆる虚弱体質を改善させる際にしばしば用いられます。小建中湯には「膠飴(こうい)」という飴が多く入っているので、子どもでも飲みやすくなっています。

子どもの頃の虚弱体質は、大人になっても形を変えて続くことがあります。今一度、子どもの体質を考えてみてはいかがでしょう。