健康

格言で学ぶ漢方-最終回

養生の道は中を守るべし

(2017年4月6日号掲載)

なぜ、夜遅くに仕事をしてはいけないのか?

元気すぎても体調不良の原因に

これまで1年にわたって格言で学ぶ漢方を連載してきました。漢方の基本は「陰」と「陽」のバランスを整えることです。陰は静かで、暗く、湿り気があり、冷たい状態を象徴するもの。陽は活発で明るく、熱い状態を象徴します。

漢方で考える「健康」とは、この二つの要素が体の中で偏ることなく、調和している状態をいいます。また、気(き)・血(けつ)・水(すい)の巡りが整っていること、五臓六腑がきちんと働いていることも重要です。

現代人は「陰」が足りない人が多く見られます。「陰」というと、世の中では良くないイメージを持つ言葉かもしれません。性格は陰気よりも陽気な方が良い、家でじっとしているよりも外に出て活動した方が良い。当たり前のことに思うかもしれませんが、「陽」ばかりを重視する人が健康とは限りません。

例えば1日のうち、昼間は「陽」の時間、夜は「陰」の時間です。そのため、人間も昼はアクティブに活動し、夜になったらゆっくり休むのが、自然に沿った生き方です。夜は「陰」が回復するための時間なのです。

ところが、夜遅くまで仕事や勉強をしていると、「陰」は十分に回復せず、相対的に「陽」が高進した状態になります。すると、体の上部(頭、顔面、胸部)、手のひら、足の裏に熱感を感じることが多くなります。頭がぼーっとしたり、イライラしたり、目、口の渇きを自覚することもあります。

このような場合は、「陰」を補う漢方薬を投与します。滋陰降火湯(じいんこうかとう)、六味丸(ろくみがん)など、多数の漢方薬があります。ただし、気・血の巡りが悪い人も体の上部に熱がこもりやすく、その場合は別の漢方薬が必要になります。

江戸時代の養生訓の中には「養生の道は中を守るべし」という言葉があります。「中」は中庸(ちゅうよう)、つまり「どちらかに偏ることなく、バランスよく行動する」ことを意味します。何事もバランスが大切なのです。