健康

女性のための漢方講座「下痢」編

(2017年12月28日号掲載)

朝方になるといつも下痢。嫌だなぁ。

体の芯を温めよう
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

寒い季節になり、特に朝方は冷え込みが強くなりました。患者さんの中には、夜から早朝までの一番気温が低い時間帯になると、必ず下痢をするという人がいます。この時、痛みをあまり感じずに下痢をするパターンが多いようです。

この原因を漢方的に言うと、五臓のうち、「脾」が冷えることで起こると考えらえます。脾は消化機能の中心となる臓のため、冷えて働きが鈍ると、その不調が下痢となって現れます。もともと脾が冷えていると、寒邪(かんじゃ)がそこを狙って脾をさらに冷やそうとします。

また、「腎」が冷えている可能性もあります。腎は体内の水分をコントロールし、成長・老化をつかさどるほか、体全体の臓腑を温める役割もあるからです。

脾と腎が冷えているタイプの患者さんには、それらを温める「真武湯(しんぶとう)」を処方します。実はこの漢方薬には、猛毒で有名なトリカブトの根が入っています。「附子(ぶし)」と呼ばれるこの生薬は、トリカブトの根を加熱処理することで毒性を著しく弱めたものです。

附子には全身を温める働きがありますが、特に腎・心・脾を温めます。体の芯が冷えている人に対してよく使われます。高齢者の冷えにしばしば処方される「八味丸(はちみがん)[八味地黄丸(はちみじおうがん)]」にも入っています。

脾を温めるもうひとつの代表が「乾姜(かんきょう)」です。人参湯(にんじんとう)、大建中湯(だいけんちゅうとう)などに入っています。附子と乾姜、両方を用いて体を温めなければいけないときもあります。

胃腸が弱く、下痢をよくする人は、その状態が当たり前になってしまって、「どうせ治らない」と思い込んでしまう人が多く見られます。下痢が習慣化してしまっている人は、自分の体質を見つめ直すところから始めてみてはいかがでしょうか。