暮らし

遠州のいきもの観察記 Vol.20

魚を狙う水辺の狩人 ミサゴ-鶚-

(2018年11月1日号掲載)

迫力のダイビングキャッチ!

魚の豊富な浜名湖の沿岸部。たくさんのボラが描き出す水紋が、いくつも浮かんでは消え、浮かんでは消える。風もなく穏やかな風景の静寂を打ち破るように、突如バシャリ!と鈍い水の音。いつのまに飛んできたのか、大型の鳥が水辺から飛び上がる。お腹の白さが目立ち、長い翼の下面側には黒い筋が見える。タカの仲間、ミサゴだ。そのままゆったりと上空を旋回。広い空に、ピヨッ、ピヨッと小鳥のようなかわいらしい声が響き渡る。精悍(せいかん)なタカのイメージからは程遠いがミサゴの声だ。顔を下に向け、水面を見ている。目指す魚影を定めたのか、ほんの一瞬、動きがゆっくりになったように見え、急にからだをひるがえす。両の羽をキュッとすぼめて、一気に急降下。そのまま頭から水面に突っ込むかと息をのむが、着水寸前で急カーブ。水際スレスレを、頭と足を前へ突き出しスライディング。狙い定めたその体勢のまま、しぶきをあげて湖へ突っ込む。時には首より下がずっぽりと水中に沈み込む。コンマ何秒か、不思議な空白の時が流れる。その間、水面下では、激闘が繰り広げられているのだろう。水から揚がったミサゴの足には、全身をビチビチと激しく震わせ最後の抵抗を試みる魚が。湾曲した鋭い爪で、その動きを封じ込め、食事場所へと獲物を運ぶ。

魚を狩るのに適した体

ミサゴの主な餌は魚だ。遠目からでもわかるほど、大きなサイズの魚も捕らえる。別名、魚鷹とも呼ばれる。ミサゴは、水中の魚を狩るのに適した体をしている。足の裏の小さなトゲトゲはぬめる魚をしっかりつかむ。細長い鼻の穴には着水時の水の侵入を防ぐ弁がある。全身の羽根は、油分が多く水をはじく。また普通タカの多くは、足指の3本が前を、1本が後ろを向くが、ミサゴは前3本のうち1本が前後自在に動く。自由度の高い足指を駆使し、暴れる魚をしっかり押さえ込むのだろう。

とはいえ、狩りは百発百中とはいかないようだ。観察では16回目のダイブでやっと獲物を仕留めるという場面もあった。獲物を得ても、呑気にしてはいられない。仲間に横取りされたりカラスにちょっかい出されたり。周りを警戒しつつ食事をする。

ミサゴは浜名湖のほか、佐鳴湖や天竜川の河口などでも見られる。魚を持って空を飛ぶ大きめの鳥がいたら、それはきっとミサゴかもしれない。

文・イラスト 浜松市環境学習指導員 瀬下 亜希