暮らし

遠州のいきもの観察記 Vol.33

冬に見られる幸せの青い鳥 ルリビタキ -瑠璃鶲-

(2019年12月5日号掲載)

「ガガガッ」が鳴き声の識別ポイント

黄色くなった葉を落とし、木々が冬支度を始めた野山で、冬の青い鳥「ルリビタキ」を探して歩く。その名の通り、頭から背中、尾羽の先に至るまで瑠璃色の羽毛が覆う。白いおなかとのコントラストが爽やかだ。脇腹のオレンジ色は背面の瑠璃色をよりいっそう鮮やかに見せる。

探す手掛かりは、まずは声。「ヒーッヒーッヒーッ」という澄んだ声を響かせる。耳をすませば、「ガガガッ、ガガガッ」という濁った小さな音も聞こえるはず。同じ鳥が出しているとは思えないほど対照的な音色だが、これがルリビタキの声の識別ポイントだ。

しばらく歩くが声もせず、なかなか見つからない。諦めて帰ろうと、ふと顔を上げ視界に入った高さ5メートルほどの木。込み入った細い枝の中に、白っぽいおなかの小鳥。互いに目が合ったと思った瞬間、「ガガッ」と小さくひと声。まるで絵本の物語のようにルリビタキからごあいさつを賜り、今季の初遭遇に心踊る。つぶらな瞳とちっちゃな黒いくちばしが愛くるしい。ひるがえった背中の色はきれいな青!雄の成鳥だ。雌や若い雄の背面は、地味なオリーブ色をしている。雄の羽がすべて美しい瑠璃色にそろうには、数年はかかるという。

冬の居場所を確保する

枝に止まり、ピコッ!ピコッ!とかなりキレのいい動きで上下に尾羽を振るのも特徴のひとつ。それにしても、やたら振っているなと思ったら、突如もう一羽のルリビタキがやってきた。青色がまだらで、まだ若い。互いにけん制するように、至近距離で飛びあっている。ほどなくして一方が去っていった。縄張りをめぐる争いと見える。ルリビタキは、春から夏にかけて、富士山や南アルプスなど中部地方以北の亜高山帯、針葉樹や落葉広葉樹の森で子育てをする。秋が深まり、あたりが雪で閉ざされる前に、低山や平地へ降りてくる。そこでひと冬を過ごすため、まずは雄も雌も若鳥もそれぞれが、居場所の確保をするのだ。縄張りが決まれば、いつも同じエリアにいることが多い。

個体を特定する記号入りの足輪の調査によると、同じ個体が翌年も同じ場所へ冬越しに来るらしい。この冬もきっと遠州のお気に入りの場所へ来ていることだろう。桶ヶ谷沼周辺、県立森林公園、いなさ湖周辺などを散策してみよう。きれいな瑠璃色の鳥に出会えるかもしれない。

文・イラスト 浜松市環境学習指導員 瀬下 亜希