暮らし

天浜線に咲かせる感動と夢の花〈新春特別編〉

(2020年1月9日号掲載)

シリーズでお伝えしている、「天浜線人と時代をつなぐ花のリレー・プロジェクト」。今回は、新春特別編として、天竜浜名湖鉄道、はままつフラワーパークとともに推進母体となっている浜松いわた信用金庫理事長の御室健一郎さんに、プロジェクトへの期待と今後の夢についてお話しいただきました。

本当の地域貢献は心の貢献。じっくり進めるのがいい

浜松いわた信用金庫 理事長
御室 健一郎さん

【浜松いわた信用金庫】2019年1月21日に浜松信用金庫と磐田信用金庫が合併して発足。「あなたの夢に、追い風を。」をスローガンに、一人ひとりの夢を応援する旗をシンボルマークとしている。持続可能な開発目標(SDGs)を基調とし、確固たる経営基盤の構築により、地域に愛され、地域社会の発展・活性化に貢献する金融機関を目指す。「天浜線 人と時代をつなぐ花のリレー・プロジェクト」の取り組みが評価され、「平成30年度 地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』33選」として認定、上位10選として表彰。令和元年秋には、国より紺綬褒章を授与された。

信用金庫は、個人や中小企業の皆さんとの距離が近く、社会を支えていくのが使命。一番目配りしなくてはいけないのは、地域の方々です。

今はマイナス経済の時代ですが、心穏やかに仕事をしていれば、賛同してくれる人が出ます。本当の地域貢献は「心の貢献」です。簡単に答えが出るものはすぐに飽きられてしまう。じっくりゆっくり進めるのがいいのです。ちょうど、地域の皆さんが快適に豊かな生活をするためには、信用金庫として何ができるかを考えている時期に、天浜線について関係者の方々から相談を受けていました。

直虎を主人公として描いた大河ドラマの影響で多くの観光客がゆかりの地を訪れ、天浜線の利用客数も大幅に伸びました。それを維持していくためにはどうしたらいいのか。少子高齢化の時代ですから人口を増やすのは難しいかもしれませんが、衰退するのを座して待つのではなく、もっと天浜線に乗ってもらう方法があるはず...。地域の力で「きれいだよね」「いいよね」「乗ってみると面白いよね」と言われる何か魅力は創出できないものか、と考えていたのです。

そんな時、たまたま御前崎方面へ向かう際、浅羽町あたりで一面に花咲くコスモス畑が目に飛び込んできました。まさに、日常の一コマになにげない感動を与えてくれる風景。「花でいこう」と思い、さっそくはままつフラワーパークの塚本こなみさんに相談しました。すると、「面白いわね。協力しますよ」と総合プロデュースを引き受けてくれたのです。それがプロジェクトのスタートでした。

本気度が伝わり草の根運動で広がる花リレーの輪

私はレールを敷いただけ。そのレールを地域貢献課の職員が走ってくれました。レールの先が正しい方向に向かっているのか、全体のバランスが整っているかを見定めるのが私の役割です。こうして、うちと天竜浜名湖鉄道、はままつフラワーパークが母体となった「花のリレー・プロジェクト」の活動が開始。塚本さんの声掛けで吉谷桂子さんもデザイナーを引き受けてくださったことも心強かったですね。

我々は地域の皆さんに説明して回りながら、花を育てるアダプト・メンバーズの募集を始めました。地域貢献課の職員が一生懸命だからでしょう。彼らの本気度が伝わり、ロータリークラブの会員も皆さん感動し、自分の地区の草刈りや苗植えに参加。地元住民グループや沿線の学校や企業など、草の根運動でどんどん広がり、昨年春の開始以来、ボランティア参加者は2千人を超えています。皆さん、得になることではないのに、そこに感動があるから喜んで協力してくれるのです。

自分たちで地域の宝を見つけて磨きをかけ、本物にしていく

このプロジェクトで重要なのは、関わった地域の人たちが、「花を植えるって楽しいよ」「みんなで協力し合い、やったんだ」と、人に自慢して話せるようになることです。地域貢献というのは、まさに花を育てるのと一緒で、まずは苗床を整えることが大事。苗床がしっかりとしていれば、強い根が張り、やがて美しい花を咲かせ、豊かな実りをもたらす。人の心も地域の発展も同じです。花に手を入れることは、心を入れること。心の花を咲かせることなんですね。誰でもそうでしょうが、「お前たち、やれ」と命令されたことは長続きしません。自分たちが「こうしたい」と思うことには、喜びと感動が生まれます。これが世の中のためになると思えば、やる気も出てくるもの。そういうプラスの連鎖を地域につくることが目標です。

地域の活性化は人に頼るものではなく、自分たちで宝を見つけて、その宝物に磨きをかけて本物にしていくことが大事です。自分たちで一つひとつ紐解き、世に出していく。それが私たちの役割だと思っています。

びぶれでは、昨年夏より花のリレー・プロジェクトの応援隊をシリーズでご紹介。はままつフラワーパークの塚本こなみさんと浜松いわた信用金庫の米澤浩祐さん・伊藤文俊さんによる特集号から始まり、ロータリークラブの神谷竹彦さん、天竜浜名湖鉄道の長谷川寛彦さん、はままつフルーツパークの山下剛さん、天竜高校の皆さん、湖北高校の皆さんに活動について伺ってきました。今年も引き続き、がんばる応援隊をご紹介していきますので、どうぞお楽しみに。

これまでの主な活動

2019年11月23日岩水寺駅西側を整備してノリウツギやフジバカマ・ツワブキを、岩水寺駅~宮口駅間にヒナハチジョウ58本を植栽しました。アダプト団体やロータリークラブのみなさん約170名が植栽活動に参加しました。
2019年11月9日気賀駅ホーム向かい160メートルに細江中学校の生徒やアダプト団体の約100名が参加して、エゴポディウムやスイセンの球根を植栽しました。
2018年11月23日花のリレー・プロジェクト植栽活動がスタートしました。植栽活動には常葉大学生や都田中学校の生徒、ロータリークラブをはじめ約200名が参加して、ヤマブキの苗木100株を植栽しました。

花のリレープロジェクトとは

「浜松いわた信用金庫」、「天竜浜名湖鉄道」、「はままつフラワーパーク」の3つの企業が母体となり、地域に暮らすみなさんと一緒に天竜浜名湖鉄道の沿線に花を植えることで地域の活性化を目指すプロジェクトです。

アダプト・プログラムとは

アダプト(ADOPT)とは英語で「○○を養子にする」の意味。一定区画の公共の場所を養子に見立て、市民がわが子のように愛情をもって面倒をみる(=清掃美化を行い)ことを「アダプト・プログラム」といいます。