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Vol.1 住宅ローンの選び方

マイナス金利導入の今、変動・固定、どっちがいいの?

(2016年10月6日号掲載)

急激に下がった固定金利

鈴木 聡
(すずきさとし)

ファイナンシャルプランナー、ふくろいFP-SERVICE代表。保険、住宅ローン、資産形成、運用、相続対策など各種相談を受け付け中。袋井市上山梨3-7-1 0538-49-2134(9:00~21:00)

今年2月、日本銀行はインフレ率2%の目標達成のため、史上初の「マイナス金利」を導入しました。民間銀行が日本銀行に預けると、一部利息を支払うことになります。

預けるならば運用したり、貸出に回したりした方が得との思惑から、資金の安全な運用先である国債が買われ、国債の金利が下がりました。国債金利が下がると、住宅ローンや企業への貸出金利も下がるため、住宅購入や企業の設備投資を活性化させていくのが日銀の狙いです。

さて、マイナス金利導入の効果ですが、見事に住宅ローンの金利に好影響を与えています(図1参照)。

マイナス金利導入以降、長期金利(10年もの国債金利)は一気に低下しました。これに伴って固定金利も急激に下がり、35年の長期固定金利である「フラット35」の金利は、8月には35年固定で1%を割り込み、過去最低の0・9%をつけました。

この結果、金利が下がった固定金利への借換え相談が銀行では大幅に増えているようです。また住宅購入を検討する人も増えていて、住宅着工が増えつつあります。

変動金利は変化なし

一方で、半年ごとに金利が見直しされる変動金利は、リーマンショック後の平成21年以降2・475%(銀行の店頭で表示される金利)で、変化はありません(図2参照)。

固定金利は「国債金利の動き」に連動しますが、変動金利は「短期プライムレート(短プラ)の動き」に連動します。短プラは現在1・475%で平成21年以降変わっていません。この金利は銀行が優良企業に貸し出すときの短期の金利ですが、これを下げると銀行の利ザヤが減ってしまうため、「変えていない」というのが真相のようです(ただし、変わっていないのは店頭金利であって、実際には0・6%程度で融資されています)。

しかし、今は10年固定金利でも0・8%前後で融資されていて、変動金利と固定金利の差は縮小してきています。

また、耐震性能や省エネ性能などが優良の住宅については、最長10年間0・3%の金利が優遇される「フラット35S」というタイプのローンがあります。これを利用できれば、9月の35年固定金利は、当初10年間は1・02%が0・72%で固定され、変動金利と遜色ない金利で借りられます。

住宅購入には良いタイミング

ここまで固定金利が下がってきているものの、変動金利を選択している人は半分程度いるようです。少しでも金利が低い変動金利を選んで、毎月の返済額を軽減したいわけですが、変動金利は名前の通り「変動」する可能性がありますので、将来金利が上がっても返済できるか十分なシミュレーションは必要です。

また変動金利を選択しても、「金利が上がったら固定金利に切り替えればいい」と考える方は要注意。固定金利は変動金利よりも先に動く傾向があり、変動金利が上昇する時には、すでに固定金利も上がっている可能性が高いことを知っておきましょう。

今は金利が低い上に消費税アップも2019年10月まで延期され、税制面では住宅ローン減税や、住宅資金の贈与税非課税措置も行われています。住まい給付金制度もあって、住宅購入には良いタイミングといえます。

【図1】 住宅ローン「フラット35」の金利推移と長期金利の推移
【図2】 民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)