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Vol.2 物価と金利

アベノミクスの影響で、住宅ローン金利はどうなる?

(2016年11月3日号掲載)

インフレ率に注目しよう

住宅購入でローンを組む際、一番の悩みは「今後、金利はどうなる?」です。これが推測できないと固定・変動、どちらがいいのか選択できません。実は金利の動きは、インフレ率に大きく関わっています。

2012年12月に安倍政権が誕生してアベノミクスが始まりました。1999年以降続く「デフレ(物価が下がり続ける状態)こそが景気停滞の原因」という認識のもと、政府と日銀はインフレ率=消費者物価上昇率を前年比+2%に目標設定し、現在さまざまな施策を行っています。

グラフ1の赤線の通り、消費者物価はアベノミクス以降、上昇が始まり、2014年3月の+1・3%が、消費税増税後の5月には+3・4%の上昇となりました。物価上昇率は前年対比で計算されるので、本来ならば消費税の影響(実質2%)が続く1年間は3%以上の上昇となるべきだったのですが、6月以降、上昇幅が縮小し、1年後の2015年4月には+0・3%まで落ち込みました。

原油価格が大きく影響

鈴木 聡
(すずきさとし)

ファイナンシャルプランナー、ふくろいFP-SERVICE代表。保険、住宅ローン、資産形成、運用、相続対策など各種相談を受け付け中。袋井市上山梨3-7-1 0538-49-2134(9:00~21:00)

大きな要因は2点あります。1点目は消費税増税後の買い控えにより、物が売れなくなり、販売店がやむなく値下げしたこと。もう1点が最大のポイントですが、2014年11月から急低下した原油価格の影響です。

原油価格はOPEC(石油輸出国機構)が生産量を管理することで、価格を統制してきました。しかし一方で、OPECに参加していない北米のシェールオイルが増産されていたため、一部の国がシェア維持を目的に生産調整を拒否し、見る見るうちに価格は値下がりしました(グラフ2参照)。

原油価格が下がると、ガソリンや灯油、ガスの価格だけでなく、これらを燃料として発電する電気代や、プラスチック類の石油製品にも影響します。消費者物価の中で、エネルギー(ガソリン、灯油、都市ガス、電気代)価格の上昇率は2016年8月に10・2%減となっています。エネルギー価格の上昇率は、消費者物価上昇率全体に占める寄与度が約半分あります。そのため、エネルギー価格がプラスに転じると、消費者物価も一気にプラスとなります。

ガソリン価格は今年10月3日現在で122・7円。一方で昨年12月末は123・5円。現在の価格が維持・上昇すれば、来年の春先には、ガソリン価格の上昇率がプラスに転じる可能性があります(円ベースの原油価格も同様)。しかし、私の計算では、0・5%減(2016年8月現在の消費者物価)が0・5%増になるだけ。目標の2%には届きません。

金利の変化はなさそう?

そこで、日銀は9月21日の会議で、「物価が安定的に2%になるまでは金融緩和を継続し、新たな目標として、長期金利を0%程度で推移するように国債を買い入れる」と発表しました。

会議結果から予想できるのは次のことです。住宅ローンの変動金利については、マイナス金利がさらに低下しない限りは、変動はなさそう。固定金利は長期金利の影響を受けますが、新たな目標の"0%程度"の許容範囲が+-0・1%以内とすれば、現在とさほど変化はなさそうです。そして、この金利水準は「物価が安定的に2%になる」まで継続しそうです。

※物価や金利の今後の動きは筆者の独自見解です。金利選択は自己の判断でお願いします。

【グラフ1】消費者物価と長期金利・住宅ローン金利の推移
【グラフ2】レギュラーガソリン価格の推移