直虎の事件簿

直虎の事件簿 特別編

元NHK 大鹿文明さんインタビュー 大河ドラマの舞台が、 なぜ浜松に!?

(2017年9月7日号掲載)

今年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」は、浜松市が舞台。ゆかりの地である井伊谷を中心に、地元は大いに盛り上がっています。そんな大河ドラマの"舞台裏"について、浜松市出身で、長年NHKでドラマ制作に携わった大鹿文明さんにインタビューしました。

大鹿 文明(おおしか ふみあき)

浜松市(旧細江町)生まれ。浜松西高卒業後、武蔵野美術大学に進学。日本放送協会(NHK)で大河ドラマ「徳川家康」の美術を手掛け、芸能番組センター長などを歴任。NHKエンタープライズ移籍後は専務取締役、副社長を務め平成27年に退職。現在は株式会社KmD代表取締役。

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大鹿さんは長年、大河ドラマに関われてきたそうですね。
大鹿
NHKにデザイナーとして入局して、当初はドラマに使われるセットのデザインを手掛けていました。大河ドラマに関わり出したのは「おんな太閤記」(昭和56年)からですね。昭和58年に放送された大河ドラマ「徳川家康」で美術を担当しました。当時は家康役の滝田栄さんや、信長役の役所広司さんがまだ無名の頃。浜松城の築城シーンとか、三方原の合戦とか、浜松時代のシーンが印象に残っていますね。
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やはり大河ドラマというのは、特別なドラマなんでしょうか。
大鹿
NHKにとっては「大河ドラマ」「テレビ小説」「紅白」が番組の三本柱ですね。10年ほど前、私が芸能番組センター長をしていた時、当時の引佐町の方々が大河ドラマの陳情で訪れてくれたことがあったんです。地元出身の武将である「井伊直政」を主役にできないかという相談だったのですが、その話は実現できませんでした。やはり大河ドラマは大勢の人々が見るものですから、メジャーな主役や、現代に通用するテーマが求められます。
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そんな中、なぜ「井伊直虎」が主役に抜擢されたのでしょうか?
大鹿
私も退職間際に直虎の制作を関係者から聞き、とても驚きました。まさか自分の故郷が舞台になるとは。「おんな城主 直虎」は私の同僚でもあった女性プロデューサーの発案なんですが、彼女に聞いたら「NHKの歴史番組で直虎が取り上げられていて興味を持った」ということでした。大河ドラマの企画は大体3年前から動き出すんですよ。だから、作り手は3年後の世相を読んで内容を決めていかなきゃいけない。彼女の中で「これからは女性の時代」という思いや、「大国に囲まれた日本がどう生き延びるか」「零細企業の社長がどうやってピンチを乗り越えるか」みたいなテーマがあったんだと思います。
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直虎効果で現在、浜松には大勢の人が訪れています。
大鹿
ただ、その盛り上がりは一過性のものです。大切なのは、大河ドラマをきっかけに地域が団結して、今までの課題を解決するアクションを起こすことだと思います。お金に換算すれば何百億円という規模のPRをしてくれているんだから、その間に継続性のある観光施策を考えることがとても大切なんです。
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何かアイデアはありますか?
大鹿
都田川の両岸を花でいっぱいにしたらいいと思います。キーワードは「姫たちの町」。直虎は井伊家のお姫様だし、歴史ある姫街道では姫様道中も行われている。そんな町にヒメアジサイやヒメユリなど、名前に「姫」の付く花を植えていくのはどうでしょう。市民みんなで植えていけば、きっと地域の財産になりますよ。

(敬称略)

井伊谷城跡 浜松市北区引佐町井伊谷