人物

いま輝く人 びぶれ・インタビュー

鈴木亮太朗 セーラー

(2015年7月23日号掲載)

鈴木亮太朗さん

春の江ノ島は穏やかだった。風速は4~5m。陸地から吹く風は心地よく、波のうねりも弱い。「いける」。浜名湖ジュニアクラブの鈴木亮太朗君は、心の中でそう確信した。

3月21~24日、神奈川県の江ノ島沖で、OP級ナショナルチームの最終選考会が行われた。OPとは「オプティミスト(楽天家)」の略語で、歳以下しか乗ることのできない小型ヨットのこと。国際大会への代表選手を決めるこの大会で、小学6年(当時)だった鈴木君は4位入賞を果たし、8・9月にポーランドで行われる世界選手権への切符を手にした。
「風が強過ぎず、自分の得意な風速で走れたのでよかった。世界大会へ出るのが目標だったので、決まった時はすごくうれしかった」

ヨットに乗り始めたのは小学3年から。きっかけは家で見た一枚の写真だった。そこにはセーラーだった父親が、ヨットから身を乗り出す姿(ハイクアウト)が写っていた。「かっこいい。やってみたい」と思った。
ヨットの進む原理はシンプルなようで複雑だ。一見、セール(帆)を張った船が風に押されて動いているように見えるが、風上にも進むことができる。選手たちは風の向きを読み、セールやラダー(舵)の角度を操ることで、目的地までの最短距離を計算。物理学と体力を駆使して、誰よりも早くゴールを目指す。

鈴木亮太朗さん

ヨットを安定させるためにハイクアウトを行う鈴木君

始めたころは、船酔いや転覆も茶飯事。4年生で初めて出た大会は、時間切れでゴールすらできなかった。休日は父親とともに浜名湖で練習し、平日は自宅で筋トレに励む毎日。難なく乗りこなせるようになるまでには2年の歳月を要した。
「普通に乗れるまで大変だったけど、大会に出ることで全国にたくさんの友達ができた。同じ学年の子はライバルだし、年下の子には負けられないプライドもあります」

陸の上では友達でも、ひとたび海に出れば手ごわい競争相手に変わる。どんなに仲が良い選手でも、海の上で言葉を交わすことはないという。
「海の上は自分一人だけの世界です。うまくいけば自分の成長だし、うまくいかなかったら自分の責任。今年の世界選手権では世界レベルの実力を知って、2年後、歳になるまでに入賞したい」

浜名湖ジュニアクラブには、かつて世界大会で入賞を果たした先輩たちがいる。船の上では孤独でも、追いかけたい目標はすぐそばにある。

【主な活動】
3月21~24日に行われたOP級ナショナルチーム最終選考会で40人中4位に入賞。5位以上の成績を収めたことで、8・9月にポーランドで行われる世界選手権への切符を手にした。

【PROFILE】
2002年、浜松市生まれの中学1年生。父親の影響で小学3年からヨットを始める。浜松市のセーリングクラブ「浜名湖ジュニアクラブ」所属。将来の夢はオリンピックで金メダル。