人物

いま輝く人 びぶれ・インタビュー

石井孝良 ウインドサーファー

(2016年1月28日号掲載)

本場の波は巨大だった。昨年11月、御前崎中学3年の石井孝良君は、ハワイ・マウイ島にいた。世界最高峰といわれるウインドサーフィンの大会「アロハクラシック」。老若男女、さまざまな年代のトッププレーヤーが集まるこの大会で、石井君は日本人で初めてユースクラス(21歳以下)に出場した。

ウインドサーフィンは、ヨットとサーフィンを組み合わせたスポーツだ。サーフボードにセイルをつなぎ、風と波の力を利用して水面を滑走。競技はスピードを競うものと、技術力を競うものの大きく2つに分かれる。

プロ選手だった父の影響から、石井君は5歳で競技を始めた。生まれ故郷の御前崎は、強い風と波が生まれるウインドサーフィンの聖地。多くのプレーヤーに囲まれて育った彼にとって、父と同じ道を志すことはごく自然なことだった。

当初はレース競技を中心に活躍。転機となったのは、中学1年生の時だった。御前崎で開かれた世界大会を観戦し、ジャンプや波乗りの技術を競う「ウェイブパフォーマンス」の迫力に衝撃を受けた。 「海外選手たちのすごく高いジャンプと、技数の多さにびっくりしました。かっこ良かったし、自分でもやってみたいと思った」

御前崎の海で練習する石井君

学校が終わると、ウエットスーツに着替えて海へ。日ごとに変わる波と風の感触を確かめつつ、テクニックに磨きをかけた。父親からすべてを教えてもらうのではなく、自分で考え、分からないことがあれば質問する。技術はメキメキと上達した。

マウイ島の波は御前崎よりもはるかに高い。初めて挑む海外の大会。石井君は、1回戦が始まっても緊張がほぐれず、波に乗るタイミングも逃してしまう。結果は力及ばず敗北。敗者復活戦に回るも、彼は決して悲観していなかった。

「失敗してもいい。どんどんやれ」

それが父親の教えだった。ウェイブパフォーマンスの評価基準は「ハイリスク・ハイリターン」。波が崩れそうになるところを、うまく流れに乗ることでポイントが加算される。波の変化を読み取り、自分の直感を信じて危険地帯に飛び込む。一度負けて冷静さを取り戻した石井君は、自分でも「上出来」と言えるほどのパフォーマンスを発揮した。

結果、彼は決勝まで勝ち進み、3位入賞の成績を収める。帰国してからも、御前崎の海で練習の日々は続く。夢は世界で活躍するウインドサーファー。今年は国内最高峰の大会で優勝し、プロの資格を得たいと考えている。

【主な活動】

昨年11月にハワイ・マウイ島で行われたウインドサーフィンの世界大会「アロハクラシック」で、ユース部門に日本人で初めて出場。波の中で演技を披露する「ウェイブパフォーマンス」の競技で3位に入賞した。

【PROFILE】

2001年、御前崎市生まれ。当時プロ選手だった父・久孝さんの影響で、5歳からウインドサーフィンを始める。小学生から本格的に競技に取り組み、レース種目では6年生時にジュニアユース選手権高学年の部で優勝。中学2年から取り組み始めた、ウェイブパフォーマンスでも2大会で優勝を収めている。