人物

Dream Interview

夢×髙橋香代(将棋インストラクター どうぶつしょうぎインストラクター)

(2019年7月4日号掲載)

主婦の視点から見えてきた将棋の面白さと「考える」楽しさ

将棋との出合いからわずか3年、将棋インストラクターとなった主婦はその魅力を伝えるべく東奔西走しながら、自身の世界をも広げ続けている。

息子が将棋に夢中 その理由を知りたくて

将棋インストラクター
どうぶつしょうぎインストラクター

髙橋 香代さん

1972年生まれ。浜松市出身・在住。2男1女の母。将棋に取り組む息子たちの姿に触発され、自身も将棋に興味を持つ。2016年に「どうぶつしょうぎインストラクター」の資格を取得。2017年からは地元のプロ棋士神谷広志八段や日本将棋連盟静岡県支部連合会理事の望月尚志氏からの指導を受ける。「日本将棋連盟公認指導員補佐」「日本将棋連盟浜北支部役員」「どうぶつしょうぎインストラクター」として将棋の普及に努めている。

私が本格的に将棋を始めたのは3年前、44歳の時です。当時、小学4年生だった息子が先に興味を持ちました。最初は教室や大会に通う息子を見守るだけでしたが、負けて悔しがっていても「辞めたい」とは絶対に言わない様子を見て「将棋にはどんな魅力があるのだろう」と気になって。

ちょうどその頃、息子が持ってきた「どうぶつしょうぎ」をやってみたらすごく面白かったんです。これが将棋の楽しさを知るきっかけとなり、真剣に将棋を始めたら、"詰める楽しさ"や"考える面白さ"にはまりました。時間を見つけては専門書を読み、練習を重ねました。将棋を始めたおかげで、息子が負けた時にどんな言葉をかけたらいいのかも見えてきて。コミュニケートもスムーズになりました。

初めてでもできる!「どうぶつしょうぎ」

どうぶつしょうぎ

盤には3×4のマス目のみ。将棋の「王将」にあたる駒が「ライオン」。進む方向に印がついている。勝負は、相手のライオンを捕まえるか、相手の陣地にライオンが入ったら勝ち。

「どうぶつしょうぎ」は、女流棋士の北尾まどかさんがルールを考案、元女流棋士の藤田麻衣子さんがデザインしたものです。将棋のきまり事を基本にしていますがルールは簡単。かわいいイラストが描かれ、世代を超えて、楽しみながら将棋の世界に入りやすいように工夫されています。2016年に浜北区で開催された「どうぶつしょうぎ大会」(後援・静岡新聞びぶれ他)のお手伝いをした時、子どもたちが真剣に対戦する姿やキラキラと輝く目、勝った喜びや負けた悔しさを素直に出す豊かな表情を目の当たりにしました。

通常の将棋には、たくさんの駒や難しい漢字、決まり事があります。だから子どもや初心者には少し抵抗がありますよね。でも、「どうぶつしょうぎ」はひと味違って、少ない駒数で楽しくスピーディーに展開できます。対戦相手とコミュニケーションをとりながら五感を刺激し、遊びを通して自ら考える力を養えるという奥深い面も持っています。何より年齢に関係なく友達や家族を巻き込み、誰でもすぐに盤に向かい合って対戦を楽しめる...。主婦の直観で「これだ!」と感じたんです。

子を持つ母として「もっと多くの人にどうぶつしょうぎを広めたい」という衝動に駆られ、すぐに「どうぶつしょうぎインストラクター」の資格を取得。幼稚園で教えたり施設などで教室を開いたり、ママ友に伝えたりしてきました。次第に「どうぶつしょうぎ」に親しむ人たちは増えてきましたが、公式な大会はまだ少ないのが現状です。もっと多くの人に知ってもらえるように、これからも普及活動を積極的に続けたいと考えています。

初心者の目線で入門書をプロ棋士と共著

発行/シャスタインターナショナル(株)販売価格/1,100円+税別

今では将棋の指導員補佐の資格も取得し、子どもたちに指導したりイベントや講演などを行ったりしています。5月に「はじめての1手詰」という本を、地元のプロ棋士である神谷広志八段と共著で出版させていただきました。この本は、将棋の入門編をさらに優しく具体的に説明したものです。

ほんの少し前に興味を持ち、この世界に飛び込んだばかりの私が、分からないことを一つずつひも解きながらその魅力にはまっていった将棋。そんな初心者だからこそ作れた本です。小さな子どもでも読めるように全ての漢字にルビを振り、自分の経験から将棋に親しみを持ちやすいようにクイズやマンガを織り交ぜ、駒の動かし方から「いまさら人に聞けない」といった事まで丁寧に解説してあります。7月中旬にはチャレンジ版も発売します。

ひとりの主婦である私が本を出版するなんて、数年前には思ってもみないことでした。興味を持ったら迷わずチャレンジしてみることが、自分の世界を広げるきっかけになるのかもしれません。