応用性の高い国家資格「行政書士」に注目
行政書士は法律系資格の中でもさまざまな職種・年齢層が取得を望む資格なのだそう。そこで、試験の現状や行政書士の具体的な仕事、資格取得者の声などを紹介します。(2010年1月7日号掲載)
女性に人気の法律系資格

まずは資格の大原浜松校(浜松市中区鴨江2丁目)へ。行政書士講座担当、長谷川正彦先生に行政書士試験の現状などについて伺いました。
行政書士とは主に官公署へ提出する書類を作成したり、許認可申請の代理を務めたりする専門家。法律と聞くと敷居が高く敬遠してしまうかもしれませんが、同校ではそれまで全く法律知識を持っていない人が、自身のスキルアップのために資格取得を目指すケースが多いそうです。
毎年11月に行われる試験は年齢や学歴、国籍に関係なく誰でも受験でき、試験科目は憲法、行政法、民法、会社法、商法、基礎法学のほか、政治経済や社会、情報分野など。満点の60%以上の得点が合格ラインで、合格者はいつでも仕事を始めたい時に登録すれば、独立開業し行政書士業務を行うことができます。
法律の基礎を広範囲に学習するので、さまざまな法律系資格へのステップアップもでき、民法など暮らしに密着した内容が一般主婦層の興味を高めている様子。法律系資格の中でも女性の受験者割合が多いというのもうなずけます。「法律など堅い内容をいかに楽しく学んでもらえるかを考えています」という長谷川先生は、「週1~2日の受講日以外の日常生活で繰り返し復習する習慣を身に付けてもらえば仕事と両立しながらの勉強で一発合格も狙えますよ」と話します。
得意分野で相談者を笑顔に
さらに詳しく行政書士の仕事を知りたいと行政書士橋爪事務所 (浜松市中区板屋町)の橋爪信夫さんを訪ねました。具体的な行政書士の仕事を質問すると「建設業許可申請」「農地転用許可申請」「入国管理局関連申請」「著作権保護」「遺言書作成支援」「権利義務に関する書類作成手続き」「交通事故に関わる手続き」「自動車の車庫証明申請」など止めどなく挙げられるほど広範囲。行政書士が関連する業務内容は1万種類を超えるといわれているそうです。
開業して25年になる橋爪さんは「自分の経験や興味によって分野を絞り、専門性を高めることが独立開業のコツ」と話します。橋爪事務所では入国管理局関係の相談も多く、外国人相談者のビザ更新のほかその後の日本の生活で直面する結婚、出産、相続、時には離婚までにも手続きはおよび相談者との付き合いは信頼とともに長くなるといいます。「大変なこともありますが、相談者に喜んでもらえ、やりがいのある仕事」と橋爪さん。
行政書士資格は語学能力を持つ人が合格すれば、入国管理局に申請する業務や日本企業と外国企業間の契約書作成を業務にすることもでき、経営学や経理を学んだ人が取得すれば企業のコンサル的役割を担うこともできます。橋爪さんは「今後一般的ニーズは、紛争防止のための各種契約書や内容証明、遺産分割協議書など権利義務に関する分野での書類作成(代理人としての書類作成を含む)および相談業務が広がっていくだろう」と分析。「自身の得意分野に熱意を込めて地道に対応していけば、次第に経験と知識が財産となり信頼を得られるはず」とこれから行政書士を目指す人たちにエールを送ってくれました。
社会への視野が広がって
2008年度に資格の大原で週2日受講し、見事行政書士試験に一発で合格を果たした主婦の柴田直子さん(浜松市中区在住)に話を聞きました。柴田さんは結婚を機に仕事を辞めたため、家庭内での時間を有効に使いたいと資格取得を決意。自身へのチャレンジと「相続や土地のことなど、これから生活していく上で知っておくと役立つだろう」という気持ちから、全く法律を知らないまま飛び込んだのだそうです。最初は独学で学んでいましたが範囲が広すぎてお手上げ。「学校で同じ授業を複数回受講したり、DVDで補講したり、問題集を何度も繰り返す復習法を教えてもらったりしたおかげで勉強を続けることができた」と話します。
試験勉強をしたことで、政治経済の報道ニュースを、以前より深く納得できるようになったという柴田さん。行政書士資格をステップに、現在さらに法律の勉強を進めているそうです。「行政書士資格の勉強が、家庭内にいた自分と社会をつなぐきっかけとなり、自分自身が広い視野を持つことができるようになりました」。皆さんも資格取得で新たな自分発見をしてみてはいかがでしょう。




