特集

小國神社でふれる根付の今昔

高円宮家根付コレクション展

(2017年4月27日号掲載)

日本独自の細密工芸・根付(ねつけ)を展示する「高円宮家根付コレクション展」が小國神社で開催される。用と美を兼ね備えた、小さな世界をのぞいてみよう。

江戸文化が育んだ留め具の造形美

平成29年
4.30(日)~5.14(日)
10:00−16:00

  • 会 場:小國神社特別展示室
    (周智郡森町森1485)
  • 入場料:500円(小学生以下無料)
  • tel.0538-89-7302
根付とは?
男性の着物にはポケットがないため、印籠などを持ち歩く時、帯に吊り下げるために根付が使われた。印籠と根付を紐でつなぎ、根付を帯にひっかけることで印籠が落ちるのを防ぐ。材質は堅い木材や象牙などさまざま。

町人文化が花開いた江戸時代。粋な江戸っ子たちは外へ出かける際、印籠や煙草入れを和服の帯に吊るして持ち歩いていた。

この時、提げ物の留め具として使われていたのが「根付」と呼ばれる道具。当初は実用品として用いられていたが、時代が経つに連れ、装飾を凝らした工芸品として発展を遂げた。根付師たちは神仙や霊獣、当時の風俗や動植物などをモチーフに、遊び心あふれる作品を次々に制作。現代の根付の中には抽象的・哲学的な作品もある。

今週末から小國神社で開かれる「高円宮家根付コレクション展」の会場には、高円宮同妃両殿下が収集された根付のコレクション約200点が並ぶ。江戸から近代にかけて作られた「古根付」のほか、昭和・平成の作家が手掛けた「現代根付」も多く展示される。

根付の文化は江戸時代後期に最盛期を迎えたが、明治の開国を機に、国内の需要が減少。その一方で、作品の多くは海外へと渡り、世界から高い評価を得るようになった。近年は海外のアーティストがオリジナルの根付を制作するなど、日本の粋な文化として再び注目を集めている。

根付の造形美に魅了された両殿下は「日本の美術品を日本で鑑賞できるように」と、国内外で制作された作品を精力的に収集されてきた。今回展示される干支根付は、高円宮憲仁親王殿下が女王の誕生を記念して特別に注文されたもの。5体並んだ干支の神将像からは、家族の大切さや温かさを感じることができる。

そのほか、大国主命(おおくにぬしのみこと)や白うさぎなど、小國神社のご祭神に縁の深い題材の根付も展示される。どれも手のひらに収まってしまうほどの大きさだが、一つひとつが丁寧に作り込まれ、ユーモアや洒落の効いた作品に仕上がっている。

「根付には、日本人の繊細な感覚や、自由な発想力が詰まっています。自然豊かな風土が育んだ、世界に誇る日本の"文化力"を感じていただければ」と小國神社・権禰宜の打田雅臣さん。愛らしくて奥深い、和の造形美を堪能しよう。

印籠[蔦細道図]
無銘
海外根付[丸鼠]D.Kucer
現代根付[獅子舞]空哉
現代根付[蝦蟇仙人]雲舟

現代根付
[待宵草]弥光
現代根付
[蛙の口ジャンケン]悟堂
海外根付
[ゆりかご]S.Wraight
現代根付
[すずくり]喜峰
現代根付
[鷲]三昧
現代根付
[ペルシャ猫]賢次
古根付
[宇治人形]落款楽之軒
海外根付
[獏ー母と子]G.Shaw
古根付
[蹴鞠]無銘
古根付
[瓢箪]無銘
古根付
[虎]岡隹
古根付
[雛人形]銘有
現代根付
[大国主命]声方
現代根付
[牡蠣]喜峰
現代根付
[おにぎり]喜峰
現代根付
[子犬]寛弘
古根付
[布袋と唐子]東谷