特集

自分らしく暮らし続けるために!

「高齢者の転倒予防」を日常生活から考える。

(2018年9月27日号掲載)

高齢者における転倒は、その後の生活の質の低下になりかねない。いきいきと自分らしく生活するため、転倒を防ぐことが大切であり、そのためにはどんなことに気を付けたらいいのか転倒予防に関する啓発、指導を行っている転倒予防指導士(日本転倒予防学会認定)に話を聞いた。

寝たきりや認知症のリスクも

福園有加さん
ここ倶楽部指定通所介護事業所
保健師・看護師・社会福祉士・転倒予防指導士
徳増知子さん
LCウェルネス 専務取締役
介護福祉士・社会福祉士・転倒予防指導士

65歳以上の高齢者の3人に1人が転んだ経験があるという。年とともに体力が低下して転びやすくなっており、昨年の厚生労働省人口動態統計によると、「転倒・転落」で亡くなる人の数が、交通事故死の倍近くあり、「転んじゃった」と笑い話で済まないのが現状だ。

まずは、転倒をしないためにどんなことに気を付けたらいいのか、浜松市内で地域の高齢者をサポートしている転倒予防指導士の徳増知子さんと福園有加さんを訪ねた。

「高齢者の転倒は骨折になりやすく、転倒がきっかけで入院治療や介護が必要となることがあります。骨折にならなくても転倒への恐怖から家に引きこもるようになると、筋力が低下し、負の連鎖になりやすいのです」

外に出なければ安全というわけではなく、転倒場所の6割が居住区内というデータがある。そして、直接的な要因として階段や段差をはるかに上回る数で、なにもない場所でのスリップ、つまずきがあがっている。

「転倒に影響しているのは筋力の低下だけでなく、服薬・食・認知症・環境などもあります。睡眠薬を飲んでいる高齢者も多いと思いますが、朝まで薬の効果が残ってふらつくことがあります。夜中、トイレに行く時も、体が思うように動かず転んでしまうことがあるので、足下を明るくする照明も大切です。また、身の回りの「ぬ・か・づけ」に気を付けましょう。ぬ...濡れている所、か...階段や段差、づけ...片付けていない所です。床に物を置かないようにするだけで転びにくくなります。玄関、廊下、風呂場など手すりを付ける時は、本当に必要な場所・位置でなければ意味がないので、専門家に見てもらうことをおすすめします」

積極的に外に出て交流しよう

地域住民を対象に、浜松医科大学老年看護学と共催して、転倒予防サポーター養成講座を開催。現在はボランティアグループ「てんとうむし」と一緒に、紙芝居などを使いながら、自治体やサロンなど、地域をまわり、転倒予防の啓発活動をしている。
■依頼・問い合せ先/現役っこクラブ ☎053-544-7788

認知症の人は転びやすいと言われているため、認知症予防も重要となる。

「慎重になりすぎてあまり動かなくなると、体力も気力も落ちてきます。ご近所さんとの井戸端会議でもいいし、自治体やサロン活動(※)に参加するのもいいですね。外に出て、人や地域とつながることが大切です。例えば外食すれば普段取れない栄養素を取ることができますし、楽しく食べると消化にもいいんですよ。運動も集団体操をおすすめします。誰かと一緒なら意欲も湧き、社会性も高められます。よく食べ、よく動くことで転倒を予防し、充実した日々をお過ごしください」

※サロン活動...地域住民が気軽に集える場所をつくり、地域の「仲間づくり」「出会いの場づくり」「健康づくり」をする活動のこと

ベットでの寝起き
ちょっとした段差でのつまずき
階段の昇り降り

転倒防止のポイントは、「ぬ」「か」「づけ」に注意すること。

ぬ ...... 濡れている所

か ...... 階段や段差

づけ ... 片付けていない所

出典/日本転倒予防学会教育教材

日本転倒予防学会 第5回学術集会が浜松で開催多職種で奏でる新たな転倒予防のハーモニー

10月6日(土)10:00~12:00(開場9:30)
会場/ホテルクラウンパレス浜松 4階 芙蓉の間(浜松市中区板屋町110-17)

市民公開講座「健康寿命延伸これ一番!転倒予防!」参加無料 要予約(先着120名)
基調講演「転倒予防川柳に学ぶ転ばぬ先の知恵」10:00~10:40

武藤 芳照さん(日本転倒予防学会理事長/東京大学名誉教授)

パネルディスカッション「やらまいか!転倒予防!」10:40~11:45
  • 座長:渡邊洋さん(渡辺整形外科 院長)
  • 転倒予防サポーター「転倒無し(てんとうむし)」(浜松市)
  • 生きがいリーダー「ハッピー」(牧之原市)
  • NPO法人御代田町はつらつサポーター(長野県)
転倒予防体操体験 11:45~12:00

【申し込み先】 FAX:053-427-1008

次の1~6を添えてFAXにてお申し込みください。

  1. 代表者名
  2. 参加人数(代表者ご本人も含む)
  3. 住所
  4. 電話番号
  5. メールアドレス
  6. 同行者氏名

※定員に達し次第受付は終了とさせていただきます。先着漏れの場合、電話かメールにてご連絡がありますので、必ずご記載ください。

【問い合わせ先】
日本転倒予防学会第5回学術集会 市民公開講座事務局
株式会社LCウェルネス TEL:053-426-0691

学術集会

10月7日(日)8:50~16:30
会場/アクトシティ浜松 中ホール(浜松市中区板屋町111-1)

※以下は無料で参加できます。ただし、2階席のみとなります

市民と研究者のための転倒予防ディスカッション
9:40~11:10 参加無料
市民とともに広げる転倒予防:地域包括ケアシステムとソーシャルキャピタル(地域の人々の相互関係や結びつき)

近藤克則先生(千葉大学)および東御市・雲南市・浜松市の市民代表と地域の転倒予防を推進する転倒予防メンバーからの発表とディスカッションを行います。

特別講演:世界で活躍するまで〜オペラ歌手の自己管理〜
11:20~11:50 参加無料

ソプラノ歌手 中丸三千繒さん ※今回は、歌唱ではなく講演のみです。※事前申し込みは必要ありません。

希望者は当日、直接会場へ。先着順ですので、満席の際は入場できない場合があります。2階席の一般公開の開場は9時半となります

【問い合わせ先】
第5回学術集会長 鈴木みずえさん(浜松医科大学臨床看護講座教授)
TEL:053-435-2826  E-mail:m-suzuki@hama-med.ac.jp