特集

浜松市名誉市民・白井鐵造生誕120周年記念

すみれと歩んだレビュー王 白井鐵造と宝塚歌劇団

(2021年3月4日号掲載)

日本人の心に、白井が残したもの

1930年(昭和5年)に初演した宝塚歌劇団のレビュー「パリゼット」の主題歌であり、後に宝塚を代表する歌となった「すみれの花咲く頃」。90年経った今も大切に歌い継がれ、日本人の心に、春野の町に、美しくかれんな花を咲かせ続けています。

宝塚レビューを完成させた第一人者

プロフィール
白井鐵造(しらいてつぞう)。宝塚歌劇団の演出家。1900年ー1983年。周智郡犬居村(現浜松市天竜区春野町)出身。1921年に宝塚歌劇団に入団し、宝塚レビューを確立。「すみれの花咲く頃」の作詞者としても知られる。

皆さんは、浜松市天竜区春野町出身の「白井鐵造」という人物をご存知でしょうか。華やかで独創的な「宝塚レビュー」を確立し、「レビューの王様」と称された宝塚歌劇団の演出家です。そして、大ヒット曲「すみれの花咲く頃」の歌詞を作った人でもあります。

白井氏は、昭和初期に何度か欧米を視察。パリには2年間留学し、昭和5年の帰朝公演「パリゼット」は本場仕込みのレビューとして、主題歌の「すみれの花咲く頃」とともに大評判を呼びました。その後も多くの作品を発表し、昭和57年には春野町名誉町民(現浜松市名誉市民)となりました。春野町では白井氏の功績をたたえ、今なお「すみれ」と「宝塚」をキーワードにさまざまな活動が続けられています。

「すみれの花咲く頃」歌碑

白井先生のご指導あってこそ

プロフィール
加茂さくら。 女優・歌手。1937年生まれ。東京都出身、京都府育ち。1955年宝塚歌劇団入団。娘役のトップとして活躍し、1971年に退団。その後は女優として映画やドラマで活動。現在も舞台に立ち続けている。

白井先生には、宝塚に入団当時からずっとお世話になっていました。先生は"はにかみ屋さん"と申しますか、生徒に対してもお稽古のとき以外はあまり話しかけてくださらないタイプでしたね。ですから退団後、お食事にお誘いしたんですけど、「やっぱり生徒にごちそうになるのは」とおっしゃって、私は「いえいえ、こちらがお誘いしたんですから」とのやりとりが続いてしまうぐらい先生と生徒の関係をしっかり守る方でした。

お稽古になるともう本当に熱心で、最初はロケットダンス(ラインダンス)といって、みんなで踊るダンスの振り付けをしてくださいました。印象的だったのは、「そこに立って、左手を真横に置いておけ」とおっしゃるんです。なんでだろうと思ったら、衣装を着ると自然にきれいなポーズで動けるようになっているんですね。先生はそこまで考えて振り付けをなさっていたんだなとすごく驚きました。

初めて主役についたときは、先生と相手の男役の方と3人で1日中お稽古場にこもって、よくお疲れにならないなと思うほど、声のトーンまできめ細かく指導していただきました。今振り返ると、とてもありがたく、当時のご指導一つ一つが、女優や歌手としての私の全てのベースになっています。

すみれの花咲く頃とともに

昭和33年7月 白井鐵造作・演出「三つのワルツ」より

私の一番好きな歌は「すみれの花咲く頃」なんですよ。宝塚のモットーである「清く、正しく、美しく」の精神にもつながるような、日本人の心に深く響くような、白井先生はよくぞこのすてきな歌詞をつけてくださったと思います。

特に私は導入部分の♪春すみれ咲き~のところが好きですね。そこは自分の感情を込めて自由に歌えるからです。もちろん今もコンサートなどでよく歌っています。これほど長く舞台に立ち続けられるのは、やはり宝塚で、白井先生のもとで、学んだおかげですね。

宝塚歌劇が始まって今年で107年になりますが、100年以上もの長期にわたって、伝統が守られてきたというのは、宝塚OGとしてとてもうれしいことです。私は退団してずいぶん経ちますが、今でも名前を呼ばれるときに「宝塚の加茂さくら」と言われるんですよ。ですから、決して悪いことはできないなと思っているんです(笑)。

これからも「すみれの花咲く頃」の歌とともに長く愛され、多くのファンを魅了し続ける宝塚歌劇団であってほしいと願っています。

春野中学と宝塚歌劇団との交流

春野南中学校(現春野中学校)では昭和30年代半ば頃から毎年修学旅行で宝塚を訪問。歌劇団の舞台を観た後は一緒に記念撮影をするのが恒例。白井氏の顕彰活動を続ける「犬居すみれ会」が中心となって行事が行われている。

「白井鐵造生誕120周年」に寄せる言葉

白井鐵造先生自筆の「すみれの花咲く頃」歌碑建立以来、間もなく40年。この間、記念館落成をはじめ、宝塚市、宝塚歌劇団との数々の交流事業を展開し、今日に至りました。ご協力いただいた関係機関に感謝申し上げます。

今後も、記念館、歌碑をふるさと遺産と位置づけ、名誉市民白井鐵造の名をつなげてと会員一同念じております。

なお、浜松市出身宝塚歌劇団卒業生天玲美音(浜松やらまいか大使)も特別会員として活躍中。

レヴューの王様「白井鐵造先生」を顕彰する会 犬居すみれ会

浜松市白井鐵造記念館

1987年(昭和62年)に開館した、白井氏の面影とその業績を伝える記念館。コテージ風のおしゃれな館内には、グランドピアノやステレオなどの愛用品や、自筆の脚本原稿、楽譜、台本、ポスターといった宝塚関係資料など約600点を収蔵。庭には白井氏が好きだったというノウゼンカズラのアーチと1992年(平成4年)に完成した白井氏本人の銅像がある。

施設案内
■所在地/浜松市天竜区春野町宮川1768 TEL.053-989-0200
■開館時間/9時~17時
■休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始
■入館料/無料