特集

薬を通じて皆さまの健康を支える

地域の薬局は「まちの保健室」

(2021年10月21日号掲載)

地域の薬局は、薬を調剤して渡すことが仕事?いえいえ、それだけではありません。地域の人たちが気軽に立ち寄って薬のことや健康のことについて相談できるいわば「まちの保健室」のような役割を担っています。具体的に薬局がどんな仕事をしているのか、古見薬局の管理薬剤師 塩野州平さんにお話を聞きました。

かかりつけ薬局とはどんな薬局ですか?

古見薬局 塩野 州平さん

湖西市古見にある薬局こさい株式会社「古見薬局」の代表であり、管理薬剤師。浜松市薬剤師会 理事、浜松市薬剤師会 在宅介護委員会委員

薬のことや健康に関することなど、何でも気軽に相談できる身近な薬局、薬剤師のことを「かかりつけ」といいます。皆さんの中にも「そういえば普段から、この薬局の、この薬剤師さんによく話を聞いてもらっているな」という顔なじみの方がいると思います。

そんな薬局の薬剤師さんを、簡単な手続きをすることで、「かかりつけ薬剤師」と決めます。すると患者さんのこれまでの薬の記録や情報がその薬局一カ所にまとめられ管理されます。例えば、複数の医療機関を利用している場合、同じ薬が処方されていないか、薬の飲み合わせに注意するものがないかなど、すぐに確認ができて重複や危険な飲み合わせを防ぐことができます。

また、薬の飲み忘れや飲み残し、飲み間違いをしないように患者さんをサポートすることもできます。私たちの薬局でも、その患者さんに合ったわかりやすい「お薬カレンダー」を作成して、決められた日時に決められた分量の薬を正しく飲めるようお手伝いしています。

また、薬が飲めない、飲みにくいといった場合も、例えば、お子さんなら、服薬専用のゼリーやチョコレートアイスに薬を混ぜて服用するように助言しています。お年寄りの場合は薬をオブラートに包むか、水分がとれる方にはお湯に溶かして飲む方法など、飲み込みのことや味覚のこと、食事のことを聞きながらアドバイスしています。

お薬カレンダー

薬の飲み忘れや飲み間違いを防ぐためのカレンダー。カレンダーに曜日と朝昼晩などをわかりやすく表示したポケットを付けて、ポケットに薬をセットする。それを順番に飲んでいくことで、正しく服用できるという便利なツール

お薬手帳

処方された薬の名前や飲む量、回数などを記録し、携帯するための手帳。飲み合わせのチェック、副作用のアドバイスやアレルギーの注意など、医療の安全につながる。スマートフォンで簡単・便利に使える電子版「eお薬手帳」もあり!

いつでも対応していただけるんですか?

基本的に24時間サポートしています。通常は薬局の営業時間内に、患者さんが持って来られた処方せんを受けて調剤を行い、それこそ親切丁寧に「保健室」のように、薬の説明や健康について相談に応じています。その際、例えば、処方内容や薬の服用状況、患者さんの生活などについて、何か問題や気になることがあれば、すぐに医師に電話をして、情報を伝えたりしています。

休日や夜間など薬局の営業時間外でも、薬の使い方や副作用など薬に関する相談に電話で対応しています。夜間の電話で多いのは「薬を2回分飲んでしまった!」などの薬の飲み間違いです。その場合はどんな薬を飲んだのかを聞いて、対処の仕方をアドバイスします。

夜間に電話をするのは勇気が要ると思いますが、緊急性のある場合は遠慮なく電話をしていただきたいと思います。その場合、患者さんの薬の情報を把握していれば、適切な対処やアドバイスができます。そういったときのためにも、「かかりつけ薬局・薬剤師」を持つことをおすすめしています。

電話のほかに、LINEを活用する薬局もあります。「かかりつけ薬局・薬剤師」を持つと、安心して暮らせます。

薬剤師は地域の医療・介護の専門家とチームを組んで在宅訪問に取り組んでいます。
患者さん・介護スタッフと医師の架け橋に

「この薬、飲みにくい」「服用するとボーっとする」「味がわからなくなる」など、薬に関する疑問や困りごと、薬による体調の変化などがあれば、患者さんや介護スタッフから薬剤師に知らせてもらうことで、体調や薬の影響をチェックし、医師と相談して、治療や薬に反映します。

在宅訪問を受けることもできますか?

私たちの薬局では、在宅で療養している患者さんや外出が困難な高齢者などのご自宅を訪問して、薬の説明や管理などのサポートをしています。ただし、すべての薬局が在宅訪問に対応しているわけではないので、静岡県薬剤師会のホームページ等で確認が必要です。

在宅ケアでよく行っているのは、薬の飲み忘れや飲み残しをしないようにという「お薬カレンダー」です。日付がついた処方薬をお渡しして、カレンダーにセットするのを見届けたあと、一週間経って訪問したときに正しく飲めているかどうか確認できます。また、医師や訪問看護師、ケアマネジャーなどとも情報を共有、連携してサポートを行うことができます。

患者さんのご自宅に訪問して薬をお届けすると、「薬剤師さんの説明がゆっくり聞けるし、気がかりなことも安心して相談できる」と、とても喜んでいただけます。

これまで在宅訪問をする中で最も印象に残っているのは、私たち薬剤師が注射薬の手助けをしたことで、「病院から自宅に戻って、親戚に最期の挨拶ができた」「自宅で看取ることができた」と患者さんご本人にも、ご家族にも、大変喜ばれ、感謝されたことです。

今必要なのは薬局に来られない一番困っている患者さんの状況を知り、ケアしていくことだと考えます。「かかりつけ薬局・薬剤師」として、今後とも医師や看護師といった医療従事者、ケアマネジャーとの連携をとりながら、患者さんに寄り添った在宅訪問を目指していきたいと思っています。

浜松市薬剤師会の地域支援活動

浜松市薬剤師会では、災害時における医薬品の供給事業、学校での環境衛生検査や薬学的指導・助言などを行う学校薬剤師の活動、食品・水道水・医薬品・環境などの登録検査機関として開設した浜松環境衛生研究所の取り組みなど、さまざまな地域支援活動を行っています。

浜松市薬剤師会の薬剤師が新型コロナウイルスの集団ワクチン接種に協力

新型コロナウイルスワクチンの集団接種において、2021年4月、浜松市、湖西市より浜松市薬剤師会にワクチン接種においての協力依頼があり、両市の各集団接種会場で、4月下旬からこれまでに約220名の薬剤師が交替でワクチンの希釈・充てん作業にあたっています。浜松市薬剤師会では接種が開始される前に研修会を開き、ワクチンの取り扱い方や充てん作業の手順などを学んでから業務に臨みました。

感謝状授与

2021年10月7日、湖西市立鷲津中学校において「医療従事者に感謝を伝える会」が行われ、湖西市及び市内の中学生・高校生から浜名医師会、浜松市薬剤師会に、新型コロナウイルス感染拡大対策への感謝の気持ちを寄せ書きにした感謝状が贈られました。

取材協力/浜松市薬剤師会、 古見薬局(湖西市)