スポーツ

スポーツの季節 Vol.5

ラグビー

(2016年10月6日号掲載)

鳴り物なしのスタジアムに、ヤマハコールが巻き起こった。

先月のホーム開幕戦、
ヤマハ発動機SH矢富選手(中央)は東芝のディフェンスをかわして3トライを挙げた

ラグビーが持つ、独特の美学に魅了される人は多い。「One for All, All for One(一人はチームのために、チームは一人のために)」「紳士のスポーツ」「ノーサイドの精神」。一つのボールを巡って激しい肉弾戦が繰り広げられるこの球技は、勇気と礼儀なしには成り立たないスポーツなのだ。

9月17日午後6時、ヤマハスタジアム。ねっとりとした残暑の湿気と、観客席を埋める8000人の熱気がまじりあう中、今季初となるヤマハ発動機ジュビロのホーム戦が幕を開けた。

ラグビー競技における、国内最高峰のリーグ戦「トップリーグ」。昨季3位のヤマハ発動機は、今季開幕戦で4連覇を狙う王者・パナソニックをいきなり撃破。続くキャノン戦、サニックス戦も制し、本拠地で昨季2位・東芝との全勝対決に臨んだ。

結果は圧勝だった。

前半17分、密集をすり抜けて飛び出したスクラムハーフ・矢富勇毅選手のトライを皮切りに、前後半合わせて6つのトライをゲット。ディフェンスでは相手にトライを許さず、40‐6の大差をつけて勝ち星を挙げた。

スタジアムが最も沸いたのは後半28分。ヤマハ発動機の強力なスクラムが東芝勢を押し込む隙に、矢富選手が50mの距離を疾走。追いすがる相手を振り払い、劇的なトライを決めた。

ヤマハ発動機ジュビロ
1982年、ラグビー同好会として創部。2003年に開幕したジャパンラグビートップリーグに初年度から参戦。2014年シーズンの第52回日本ラグビーフットボール選手権大会で初優勝。昨季はリーグ3位。
次回ホーム戦
トップリーグ第7節
ヤマハ発動機vsホンダ
日時/10月15日(土)13:00~
会場/ヤマハスタジアム

「フォワードが頑張ってくれるおかげでスペースができた」と語る矢富選手。フォワードとバックスがかみ合ったプレーに、サックスブルーに染まる観客席からは拍手と歓声が響き渡った。

ありったけの声援で選手たちを鼓舞する。それがラグビーファンの応援スタイルだ。野球やサッカーの応援ではおなじみの笛や太鼓、いわゆる「鳴り物」はスタジアムでは一切なし。チャンスの場面では「ヤマハコール」が自然と沸き起こる。

「昨年は満員のヤマハスタジアムで神戸製鋼に負けて、恥ずかしい試合をしてしまった。その日以来となるホーム戦で、元気でパワフルなヤマハを見てもらうことができてよかった」と清宮克幸監督。

ラグビーに番狂わせはない―。これもファンの間でよく口にされる言葉だ。ラグビーのように選手同士がぶつかり合うスポーツは、実力差がはっきりと得点に表れてしまう。昨年のW杯で、日本代表が格上の南アフリカ代表に勝利したことが「奇跡」と称されるのもそのためだ。

では、昨季の上位2チームを破った、今季ヤマハ発動機の実力は?その答えは、来年1月まで続くリーグ戦の中で明らかになるだろう。