スポーツ

スポーツの季節 Vol.7

中国武術

(2017年1月26日号掲載)

武術の達人が、世界レベルの演武を見せた。

昨年12月、浜松市立富塚小学校の体育館で、武術家の市来崎さんが子どもたちに演武を教えた

日本では「カンフー」の名でも親しまれている中国武術。その発祥は、漢代(紀元前200年頃)までさかのぼるとされる。以降、悠久の歴史の中でいくつもの門派(流派)に枝分かれし、現在、その数は百種にも上るという。

中でも代表的な拳法として親しまれているのが「太極拳」だ。早朝、広場に大勢の人が集まり、ゆったりと体を動かす。そんな映像を見たことのある人も多いだろう。多くの中国武術は、体を動かすだけでなく、時にこの世の摂理を説く深遠な面も持ち合わせている。

「武術は心と体を一致させることが大切。余裕を持ちながら心身をコントロールすることで、滑らかな演武を行うことができます」

型の修練に励む子どもたち

そう話すのは武術家の市来崎大祐さん。市来崎さんは2010年の武術太極拳アジア大会・長挙で銀メダルを獲得した、日本を代表する若手武術家の一人だ。昨年から月に1度、浜松を訪れ、子どもたちにレクチャーを行っている。

「武術太極拳」は中国武術を元にしたスポーツ。2019年から4年間、国体の公開競技として採用される予定だ。種目は「太極拳」のほか、動きの激しい「長拳」や、空手の源流の一つとされる「南拳」の3種。競技者は套路と呼ばれる型を身に付け、演武の美しさを競い合う。

「市来崎ドリームプロジェクト」と銘打たれたこの講習。主催するのは、静岡県西部で活動する浜松ジュニアカンフークラブの代表・伊東健さんだ。「世界レベルの中国武術を子どもたちに伝えたいと思い、企画しました。武術を通じて心身を育てるのが一番の目的です」と話す。

拳を突き出し、足を蹴り上げ、素早くしゃがむ。参加した子どもや保護者たち約30人は、市来崎さんの指導のもと、一連の動作を身に付ける。素手で行う拳法のほか棒や扇を操る武器術のアドバイスも受けた。

参加した加藤櫻心さん(小学3年)は「市来崎先生に教わるようになってから、足がきれいに上がるようになった。将来は国体に出て、先生みたいにアジア大会で活躍したい」と成長を実感している。

講習の最後は、抱拳礼(拳を手のひらに当てるおじぎ)で「ありがとうございました」とあいさつ。終わった後も達人に直接教えを請おうと、熱心な受講者が後を絶たなかった。

市来崎大祐

1987年、大阪府生まれ。6歳から武術を始め、2010年の第16回アジア大会・男子長挙で日本人メダル第一号となる銀メダルに輝く。2014年の同大会では銅メダルを獲得。2016年から月に1度、浜松で子どもたちの指導を行っている。

講習の問い合わせ:浜松ジュニアカンフークラブ 伊東健さん【E-mail】kids_gongfu@yahoo.co.jp