スポーツ

全日本総合Vに輝いた 入野中ボート部女子

"不遇の世代"が頂点に立った。

(2017年9月7日号掲載)

浜松市立入野中学校ボート部は7月29・30日、福井県・久々子湖で行われた全日本中学選手権競漕大会に出場。全国の中学ボート部の頂点を決めるこの戦いで、女子は総合優勝、男子は総合3位入賞に輝いた。

勝利の喜びを分かち合う入野中ボート部の選手たち

佐鳴湖で培った底力

「ゴールする前から、泣いている子もいました」

全日本選手権、女子舵手つきクオドルプル決勝。舵取り役の指示のもと、4人の漕ぎ手がボートを漕ぎ進めるこの競技で、入野中は念願のトップを獲得した。2位のチームに12秒以上の大差を付ける、圧倒的な勝利。レース終盤、キャプテンの飯島千晴さん(3年)が艇上で見たのは、勝利を確信したクルーが嬉し涙を流しながらオールを漕ぐ姿だった。

入野中の女子舵手つきクオドルプルは、圧倒的な力を見せつけ1位を獲得した

「最初から全力でいこう」

決勝が始まる前、選手たちは一つの方針を決めてレースに臨んだ。序盤から他チームに差をつけて、逃げ切る。それができるだけの自信があった。

6月に浜松市で行われた「U15佐鳴湖ジュニアレガッタ」。中部地区の学校が実力を競い合い、"全国大会の前哨戦"とも称されるこの大会で、女子チームは総合優勝を果たしていた。「今年の3年生は大雨や学校行事の影響で、大会に出場する経験が少なかった"不遇の世代"。大会慣れしていない中で結果を残せたことは、選手たちにとって大きな自信になったと思います」と顧問の鈴木政晴先生は話す。

とりわけ、佐鳴湖で勝てたことが、クルーにとって大きな意味を持った。選手たちがいつも練習を行っている佐鳴湖は、水に含まれる塩分の影響から、オールを漕ぐ時の感触が重い。淡水の湖や川よりも高い負荷がかかる環境の中で優勝できたことは、全国制覇に向けて大きな弾みとなった。

「ボートは全員の動きを合わせることで、初めて速いスピードが出せる。練習ではお互いのフォームを確認して、何度も何度も修正しました。その成果が出せたと思う」と飯島キャプテン。

入野中女子はそのほかダブルスカルで3位と6位、シングルスカルで5位と7位をそれぞれ獲得。各種目で上位に食い込み、チームは総合優勝を飾った。静岡県で唯一の中学ボート部が、全国の頂点に立った瞬間だった。

男子は総合3位入賞

シングルスカル4位の杉森君

入野中男子は舵手つきクオドルプルで5位を獲得。男子シングルスカルでは、杉森優雅君(3年)が4位に入った。「地元の代表として、他県のチームに負けたくないという気持ちが強かった。ゴールした瞬間は『やり切った』という達成感がありました」と杉森君。男子チームは総合3位入賞。2位との差はわずか1点という、僅差の戦いだった。