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家族の幸せがすべての源 株式会社イシグロ 代表取締役社長 石黒衆さん

このコーナーでは毎月1回浜松をリードする人物の横顔に迫ります。今回は静岡県・愛知県で22の釣具店を運営する株式会社イシグロ社長の石黒衆(しゅう)さんです。(2012年2月23日号掲載)

 

key120223A.jpg 【プロフィール】
1949年浜松市生まれ。1973年石黒釣具店入社。上島店、高林店の店長、株式会社イシグロ専務取締役を経て1991年代表取締役に就任。3人の子は独立、妻と愛犬(ミニチュアダックス)と暮らす。雨の日以外は週5日散歩。

イシグロってどんな会社?
1952年石黒釣具店として創業、1974年に会社組織に。1980年代から店舗を次々に増やし、現在静岡県・愛知県に22店。釣具リサイクル専門店のタックルオフも運営する。環境保護や釣り場の整備、稚魚の放流も実施。社是は「家族・同僚・お客様に感謝し、世の中の正しい流れを素直に受け入れ、自己実現の為に愉しく生きよう」。従業員数480名、うち女性224名。売上高64億円(2011年12月)。


社是を変えた妻の一言

コーヒーは好きですね。口コミ情報をもとに、浜松のコーヒー店はあらゆるところに行きました。映画や音楽を楽しめる店もあれば本を読むのにぴったりな店もある。豆屋もいろいろ回りましたよ。気に入った店には月2回ぐらい買いに行きます。女房ともよく行きますよ。面と向かって話すとぶつかることでも、カウンターでコーヒーを飲みながら話をするとそうならない。昔の子育ての問題も帳消しになる(笑)。

key120223B.jpg 子供が小さい頃、僕の生活は商売が中心でね。次々と店を出してお客さんも増えてくると「俺もまんざらじゃない」と仕事が面白くて。ところが、長男が小学5年生の時に子育てに悩んでいた女房が「私はあなたの何なの?」と言ったんですよ。この言葉は重かった。その時初めて「大切なことを忘れてた」と気付いたんだね。

社是を変えたのはそれがきっかけ。それまでは「奉仕と挑戦」だったけど、「家族に感謝」を真っ先に入れたんです。よその人は「なぜ家族がお客より先なの?」と聞くけど、家庭を顧みないで仕事に没頭しても幸せにはなれないと思うんだよね。


自由な発想で実践を

目指すのは定年を迎えたときに「この会社に入ってよかった」と思える働きやすさ。そのために職場環境を整えます。給与も業界では高い方だと思いますよ。その代わりに評価は厳しい。でも、うちは社長が管理するのではなく、社員が自由な発想で「良い」と思うやり方を考えて実践できる会社。だから居心地がいいんじゃないかな。パートを含めて辞める人はほとんどいないし、有休消化率も高い。遊びは大事だし、家族だんらんの時間もなくっちゃね。

遊びといえば、最近は外で遊ばない子が多い。外遊びは自然への畏敬(いけい)の念を教えてくれるからとても大切なんですよ。僕らは自然と語り合う楽しさや釣りの醍醐味をずっと伝えていきたいから、その環境を守るために稚魚の放流活動も行っています。


チャンスを与え能力を伸ばす

長男は今、沖縄で二つの会社を立ち上げて頑張っていますよ。そもそもは僕が「労働条件が日本で一番悪い沖縄で自分を磨け」と放り出したのがきっかけ。僕に似て自立心があるから、家族と離れて世の中のことを学べば、一人でやれると見込んだんですよ。案の定、でっち奉公で苦労した末に「自分で会社を興したい」と奮起した。人は想いが強ければ誰でもリーダーになれるもの。足りない部分は持っている人に補ってもらえばいい。そして一番大事なのは自分の至らなさを助けてくれた人に感謝の気持ちを持ち続けることです。

二男は今大阪で修行中。こいつが会社を継いでくれるはずなので、売り場づくりとか数字の動かし方とか、商売に必要と思われることを学べる環境に放り込んであります。親はどんな能力があるかを試させて、可能性を伸ばしてやることが大事。そして黙って環境を作ってやるのが務めだと思うんですよ。必要な苦労は、させたほうがいい。でも、娘には苦労してほしくない。父親のエゴですが(笑)。

(聞き手/編集室 藤田敦子)

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