特集

今がおいしい、浜名湖の牡蠣(かき)。

(2018年1月18日号掲載)

浜名湖の冬の味覚の代表格「牡蠣」。今年の牡蠣は特に身が大きく、味も濃厚といわれています。自然の恵みがぎっしりと詰まった牡蠣は、今がシーズン真っただ中です。

浜名湖のグルメといえば、まず思い浮かぶのがウナギ。ですが、今は牡蠣が最もおいしいシーズンです。牡蠣の産地というと広島県や宮城県が有名なものの、それに負けず劣らずの牡蠣が浜名湖で育てられています。

「今年の牡蠣は数がそれほど多くない分、一つひとつの身が大ぶりで甘みがある。ここ数年では一番のおいしさと言ってもいいと思います」

そう話すのは舞阪で牡蠣の養殖を営む堀内拓郎さん。地元で4代続く堀内商店の若手漁師です。浜名湖で牡蠣がどのように採られているのか、仕事の様子を見させてもらいました。

湖の栄養でプリプリに

帰りの船の中で、針金に付いているホタテ盤から牡蠣の塊を取り外し、一つひとつにばらしていく。漁師の間では「牡蠣こなし」と呼ばれる作業だ
新鮮な牡蠣を次々とむいていく女性たち。作業は早朝からお昼過ぎまで続き、その日のうちに売り場へ出荷される

12月の午前6時、夜明け前。辺りがまだ暗闇に包まれる中、舞阪漁港から船を出して養殖場へと向かいます。目指すは三ヶ日方面にある猪鼻湖。湖面が穏やか、かつプランクトンが豊富なこの場所で、地元の多くの漁師たちが牡蠣を育てています。

猪鼻湖の真ん中にたどり着くと、竹で組み上げた「いかだ」が浮かんでいました。いかだに乗り移って下を見ると、水中にゴツゴツとした物体がいくつも沈んでいます。

「これが浜名湖の牡蠣です。いかだから牡蠣の付いた針金を吊るし、湖の栄養を与えて育てているんです」と堀内さん。いくつもの牡蠣が重なり合って育つ様子は、まるで岩石のようです。

針金は直線ではなく、円形状に加工したものを使うのが浜名湖式。湖面から約1・5mまでの間に多くのプランクトンが生息しているため、すべての牡蠣にまんべんなく栄養を行き渡らせる工夫です。稚貝から食べられる大きさに育つまでには、1年3カ月もの年月がかかります。

「今年の分の牡蠣を採りながら、来年の分も育てています。水温や成長度合いに合わせ、養殖する場所を移動しながら大きくさせるんです。収穫するのは冬ですが、やることは1年中あるんですよ」

水中から引き上げた牡蠣はずっしりと重く、船に積み込むのも一苦労。ですが、新鮮な状態でいち早く港へ届けようと、1時間程度で手早く収穫作業を終えます。

甘みと海の香りが広がる

牡蠣は二枚貝なので、上下の殻の境目に牡蠣むきナイフを入れて中身を取り出す。中身を傷つけず、貝柱だけを素早く切り落とすには長年の経験が必要だ

港に戻ると、すぐさま牡蠣むきの作業に入ります。作業場の女性たちは、カゴいっぱいに盛られた牡蠣から中身を取り出していきます。新鮮な牡蠣は殻をぴたりと閉じているため、境目を見極めてナイフを入れるのはまさに熟練の技。殻の中から姿を現す牡蠣は、朝日に照らされて美しい光沢を放っています。

「中身の"わた"が緑色なのは、栄養がたっぷり詰まっているということ。栄養が少ない時は、わたの色がまだ茶色いんですよ」と作業場の方々。身の色も真っ白ではなく、ほのかに黄色を帯びているのが新鮮な証拠と教えてくれました。新鮮な牡蠣をその場で焼いて食べると、口いっぱいに甘みと海の香りが広がります。

「浜名湖の牡蠣は、全国の知名度からすればまだ低いかもしれません。でも、おいしさはどこにも負けない自信があります。せっかくの地元の名物をなくさないよう、これからもいい牡蠣を作っていきたい」と堀内さん。今年の牡蠣にもうまみと甘み、漁師の思いがたっぷりと詰まっています。

牡蠣を食べに行こう!!

近年、屋外で牡蠣を調理して、アツアツのできたてを楽しむイベントが大人気!地元の新たな冬の風物詩となっています。海の幸を存分に味わおう!

新居 牡蠣小屋
海湖館
  • 開催日/4月1日(日)まで
  • 時 間/10:00~14:00(土・日曜・祝日は9:00~)
  • 定休日/月曜(祝日の場合は翌日)
  • 問合せ/090-8186-1217(担当・榊原)
新居関所
  • 開催日/2月25日(日)までの土・日曜・祝日
  • 時 間/10:00~14:00
  • 問合せ/新居関所 080-3075-5970(泉町発展会)

新居の牡蠣小屋は2カ所で開催。今切体験の里「海湖館」と「新居関所駐車場」で開催しています。どちらも地元の牡蠣ブランド「プリ丸」を使用し、バーベキューコンロで熱々、プリプリの牡蠣が楽しめます。焼き牡蠣4個1080円。そのほか、カキ天ぷらやカキフライ、カキごはんなども。事前に予約がお薦め。

協力:新居町商工会・新居町観光協会・湖西市

舞阪 冬の朝市 弁天島 浜小屋マルシェ
  • 開催日/
    1/20(土)・21(日)・27(土)・28(日)
    2/10(土)・11(日・祝)・17(土)・18(日)・24(土)・25(日)
  • 時 間/10:00~14:00
  • 会 場/浜松市弁天島海浜公園
  • 問合せ/舞阪町観光協会 053-592-0757

牡蠣のせいろ蒸し(5個入り1500円)を1日限定100個で販売。牡蠣の炊き込みご飯や牡蠣串し焼きのほか、しらす天丼やあさり汁など、海の味覚いっぱいです。土曜は会場で牡蠣むき見学もできます(11:00~13:00)。

浜名湖の養牡蠣の歴史

浜名湖の牡蠣養殖の歴史は、明治時代に遡ります。舞阪の田中万吉という人物が、地まき式と呼ばれる方法で始めたのが起源といわれています。その後、次第に牡蠣養殖が盛んとなり、地元の特産物として知られるようになりました。

牡蠣の栄養

「海のミルク」と呼ばれる牡蠣は、低脂肪高たんぱくで、体のエネルギー源となるグリコーゲンを多く含む食品。貧血予防に効果があるといわれる鉄分や、免疫力をアップさせる亜鉛のほか、銅・カルシウムなどのミネラルも豊富です。