暮らしNEW2022.09.15

不登校の子どもたちを 優しく支援する 校外適応指導教室とは?

浜松市では、さまざまな要因によって登校できない子どもたちのために、学校以外の市内9か所に「校外適応指導教室」を開設しています。浜松市の校外適応指導教室とはどんなところなのか、その概要や特徴について、運営にあたっている「NPO法人はままつ子どものこころを支える会〈すまいる〉」のお二人にお話を伺いました。

NPO法人〈すまいる〉ができるまで

不登校?わが家には関係ないから。そう思われている方も多いのではないでしょうか。しかし、浜松市教育委員会の報告によると、市内の不登校の小中学生は2017年度に1160人だったものが、2021年度には1903人、5年間でなんと約2倍に増えているのです。

「実は数字で見る以上に、子どもたちの問題はどんどん深く大きくなっています」と危機感を示すのは、『NPO法人はままつ子どものこころを支える会〈すまいる〉』(以下、〈すまいる〉)代表理事の大嶋正浩さんです。

「人に相談したり、頼ったりできない、あるいは自分の気持ちを表せないなど、“人とつながる”ということがうまくいかない子どもたちがすごく増えてきました。結果、その子どもたちが親になったとき、今度は子育てがうまくいかないというさまざまな問題が生じているのです」。

人間関係の希薄化、母子の孤立、虐待など、子どもの育つ環境は悪化の一途をたどっています。こうした状況を少しでも改善するために、浜松市の“地域から教育を支えていこう”と、大嶋さんをはじめ、日々子どもたちと向き合い、関わっている有志により、2014年7月、勉強会が立ち上がりました。

「勉強会を通していろいろ議論していく中で、現代の子どもたちの姿や現状が改めてわかってくると、やはり“地域でこどもや教育を支える組織”が必要ではないか、ぜひそれをつくろうとの結論に至りました」と大嶋さん。そして、2015年12月に〈すまいる〉を設立したのです。


地域で子どもたちを支えたい

〈すまいる〉が理念としているのは、子どもたちの20年後、30年後の姿を想像して、

⑴すべての子どもの「生きる」を守る。

⑵子どもの幸せを願い、子どもの成長 する力を信じてこころの育ち(情 緒的な発達)を支える。

⑶将来、ひきこもりをつくらないため の不登校児童生徒対策推進。

の3点です。

「子どもは大人に大事にされたり、守ってもらったりする中で、試行錯誤しながら成長していきます。もちろん失敗や傷つくこともあると思いますが、そんな場合もきちんと寄り添い、支えながら、大人になるのを丁寧に見守ってあげなければなりません。それを地域ぐるみでできるようにしたいというのが私たちの基本的な理念なんです」と大嶋さんは語ります。

〈すまいる〉では、主な活動の一つとして、保育士や幼稚園・小中学校の教員を対象に、子どもの理解を進めるための“人材育成や研修会”を実施しています。例えば、子どもの成長の流れがわかるようなケースカンファレンスを行う『中学校区事例検討会』や、子どもとの関わり方など実地に役立つ『ピンポイント研修会』などです。

また、2018年4月からは、浜松市内に9カ所ある『校外適応指導教室』の運営も行っています。

子どもたちが安心できる校外適応指導教室とは

校外適応指導教室は、〈すまいる〉が浜松市から委託を受けて実施している事業です。学校に行くことが難しい子どもたちのための教室として、学習のサポートはもとより、スポーツや調理、工作などの体験活動をしたり、子どもたち同士で交流を深めたりする活動などを行っています。子どもたちが安心して過ごせる新たな居場所にもなっています。

校外適応指導教室の対象となるのは、市内の小・中学校に在籍している不登校(年間の欠席日数が30日以上)の状態にある児童生徒です。学区に関係なく、市内に点在する9カ所の教室の中から通いたい教室を選ぶことができます。

「各教室とも開室時間は9時から14時までです。一日過ごせる子もいれば、その日の体調に合わせて半日過ごして帰る子もいます。『ふれあいタイムにみんなとカードゲームするの楽しそう』『学習時間に落ち着いて勉強できそうかな』等、慣れるまではその子の過ごしやすい時間帯を選んで通うのもいいですね」と話すのは、校外適応指導教室業務統括の飯田博乃さん。

飯田さんによると、「9教室それぞれに特色があり、活動の内容も教室によってさまざまです。また、通常の学校と教室を併用して通う子どもたちも多く、全体の約8割を占めています」とのこと。

9教室の中でも、『かやの木教室』と『ふれあい教室』の2教室には、個人個人に寄り添いながら、学校復帰や社会的自立を支援する“個別対応型”の教室も開設されています。その他、市内の不登校児童生徒と校外適応指導教室全体で自然体験活動を行う『チャレンジ教室』や『ミニチャレンジ』も年間で15回ほど開催しています。


まずは見学を、その後約2週間の体験ができます

では、校外適応指導教室に入るにはどうすればいいのでしょう。「それにはまず教室を見学して、『どんなことをするのかな』と確認したり、『雰囲気はどうかな』と感じたりするところからスタートします」と飯田さん。

見学する場合は、所属する学校の先生に、校外適応指導教室を見学したいことを伝えます。実際に体験したい場合や、気に入った教室に通いたい場合も同様に、学校を通じて行います。約2週間の体験期間の後、学校長が判断し、“入級”という形になります。

入級を希望する児童生徒は、年々増加していて、スタッフの数が十分とはいえないのが現状です。そこで、〈すまいる〉では、校外適応指導教室のスタッフ(指導員、ボランティア)として一緒に働く仲間を募集しています。

大嶋さん、飯田さんは、「子どもの気持ちを広くやさしく受け止めていただける方。〈すまいる〉の理念や活動に共感し、子どもたちが安心して過ごせる居場所づくりをともに行っていただけたらうれしいです」と支援の輪を呼びかけています。


子どもたちの笑顔のために一緒に働きませんか?

【問い合わせ先、申し込み先】
NPO法人はままつ子どものこころを支える会〈すまいる〉
〒435-0055 浜松市中区十軒町56
TEL:053-570-8142  FAX:053-570-8143
Eメール:h-smile@rx.tnc.ne.jp
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